JavaScriptによる仮想通貨マイニング設置で16人摘発

2018.06.15

投稿者 :fuji

カテゴリ: IT News

ここ数日、仮想通貨マイニング関連で逮捕者が続出しています。

[違法マイニングで16人摘発 10県警、仮想通貨獲得で不正アクセス]
https://www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140035-n1.html

10県警にて摘発との事で、大規模な動きである事が伺えます。

WEBの世界において、広告に代わる新たな収益源としてブロガーの方々から注目されていたようですが、逮捕者が出た事により状況は大きく変わる事になりそうです。
警視庁からの公式広報においても、ウィルスに近い位置付けとしての公式発表が出ています。
[警察庁サイバー課からの注意喚起]
http://www.npa.go.jp/cyber/policy/180614_2.html

簡単に、仮想通貨マイニングについての説明ですが、
・仮想通貨とは「あえて」多大なCPUパワーを要する計算を行う事を前提として、システムを成り立たせるものである。
・「計算」とは、通貨の取引内容を確定させるために必要な処理である。(例えばAさんがBさんに仮想通貨を振り込みたい場合など)
・計算は世界中の誰でも行う事が出来る。
・一番最初に計算を成功させた人は報酬として仮想通貨を得る事が出来る。

この「報酬」を得るために計算を頑張る事がいわゆる「仮想通貨マイニング」です

そして、計算量は仮想通貨システムにより自動的に、そして徐々に難易度が上昇します。
難易度が上がると、より多くの計算が必要となります。

仮想通貨の代表格であるビットコインにおいては既に、日本国内でマイニングを安定的に成功させようと思うと
得られる報酬額よりもマシンを稼働させるために支払う電気代の方が上回ってしまうようです。

そのため、電気代の安い中国の奥地に大量にマシンを並べてマイニングを行っている団体もあるようです。

マイニングを行うための計算自体は至ってシンプルなものであり、
「計算部分のみ」で言うならばPHPであれば30行程度、Javaであれば100行程度で実装する事が出来ます。

こういった事もあり、世の中にはマイニング計算をJavaScriptで実装したライブラリもあるようです。

JavaScriptはサイトへ埋め込む事が出来ます。
そのページを閲覧した不特定多数のクライアントマシンの力を借りて、計算を行う事が出来る訳です。
計算によるマイニングの報酬は、サイト運営者の手に渡ります。

これは「マイニングを行いたい側」の意見だけを見ると、とても合理的にも思えます。

これ自体には問題は無いのでしょうが、ここでの問題点は
検挙されたサイトはユーザに対しての許可を明確に得る事無く、バックグランドでマイニングjsを稼働させていた、
と指摘された事です。
※サイトのフッターなどには一文が明記されていたのかもしれませんが、あくまでユーザが確実に認識できる明示である必要があるようです。

警視庁のHPにも記載がある通り、犯罪で有るか否に関しては
マイニング行為そのものでは無く、マイニングを行うにあたり事前にユーザの許可を得ているのかどうか、という部分が大きなポイントのようです。

要は「無許可でクライアントPCのリソースを消費する行為自体が犯罪である」という事ですね。

ただ、この点については方々で様々な議論が巻き起こっています。

ユーザに無許可で広告動画の再生を行っているサイトは「無許可でクライアントPCのリソースを消費する行為」に該当しないのだろうか、
という意見がありますし、そもそも広告バナー画像をダウンロードする時点で、ネットワークトラフィック(スマホの場合はパケ消費)も発生する訳ですし、
描画のためのコスト(ごく軽微な電気代)も発生します。

という具合に、厳密に追いかけようとすると色々と派生する議論まで招いてしまうので、どこかで線引きは必要となります。

ただ、この辺の線引きは非常に曖昧な所で、世界中を見てもまだまだ法整備の追いついていない所です。

とはいえ、検挙者が出ているのは事実な訳ですし、インターネットの世界における法整備については、我々IT業界人としては今後も注目をし続ける必要性がありそうです。
「知らぬ間に法を犯して犯罪者になっていた」という事にはならぬようにはくれぐれも気を付ける必要があります。